オオムラサキ (菊地利明)

水紋
 国蝶(ちょう)というものがある。オオムラサキだ。56年前、日本昆虫学会が決めた。別に法律で規制されてはいないが、それだけに格調の高いチョウとも言える。実物を見た人は石巻地方でどれだけいるだろうか。

 実際に羽の表面は青紫を地にした白、黄、赤の斑紋が美しく、両羽を広げると10センチほどになり大きい。飛び方も力強く、羽音がするほどだ。幼虫はニレ科の樹木エノキの葉を食べて成長、夏に成虫になり、クヌギなどの樹液を吸う。

オオムラサキ

夏はオオムラサキの季節。陽光を浴びる成虫=石巻市内

 生息には、食樹だけではなく、自然豊かな雑木林が必要だ。どこでも見られるわけではない。最近は里山の荒廃などで生息地は狭まっている。

 自分は別にチョウマニアではない。美しい里山の象徴を残したいと思い、過去に勤務地の方々と山にエノキを植えてきた。年月がたちオオムラサキが自然に飛んでくるまでに成長、この夏「植えた木で羽化した」と連絡が2カ所から入った。

 石巻にも生息地がある。何とか守りたいと思う。チョウは同じ種類でも、土地の環境や気候によって少しずつ大きさや模様の変異がある。種の拡大、分布の長い歴史を経て、表れてくる違い。それぞれに価値がある。

 チョウに限らず、そうした地域や土地ごとの違い、個性を魅力として大切にし、もっと足元の自然に目を向け、魅力を再発見したいものだ。

(菊地利明)

【2013年7月18日(木)石巻かほく掲載】


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